- 新築物件でガスと電気を併用したい
- オール電化住宅でガスコンロを使いたい
- ガス配管する費用が知りたい
新築物件を建てる場合や、既に居住中の住居で電気とガスを併用して使いたい場合、どういった流れで進めていくとよいのでしょうか?
僕はガス会社に勤務して10年目のガス会社社員です。
近年、電気料金は、オール電化プラン等によりお得に電気を使えるようになっています。
その影響もあり、新築物件の設備のほとんどがオール電化で設計されています。
オール電化住宅は、便利で、しかも光熱費が安いとお思いの方も多いのではないでしょうか?

ガス料金高いから、電気にしようかなってよく言われます。
しかし実際には、ガス設備にも電気の設備にはない良い点が多くあります。
また、電気の料金も昨今の高騰により、安いと言えなくなりつつあります。
ガス業界で働く僕は、ガスの利用促進のため、ガスのメリットや電気との比較について、日々考察しています。



その結果、ガスと電気、両方の良さを生かしてガス併用がおすすめという結論になりました。
形としてはガスコンロ+エコキュートです。
理由は、ガスコンロを使用することで、電気のみに依存せずに済みます。
停電時にも火が使え、災害リスクに備えることにもつながります。
そして、エコキュートを使うことにより、お風呂や給湯の光熱費を抑えることができます。
この記事では、ガスと併用をおすすめする理由と、ガスを配管した場合の費用について解説します。
ガス併用をおすすめする理由


ガス併用にする理由は以下のようなものがあります。
- 停電時にもガスコンロが使える
- ガスコンロの火力の強さ
- お湯切れの心配がない
停電時にもガスコンロが使える


エネルギーを電気とガスに分散できているため、停電になった際にもガスを燃料としている器具が使えます。
電気が供給されないとIHクッキングヒーターは使えませんが、ガスコンロなら電源は電池なので通常通り使用できます。
これにより、停電時のリスクをある程度分散させることができます。
また、長期に停電にする場合にガスだけでも使えることで、温かい食べ物が作れます。



いざ停電になった場合に、ガス併用をおすすめする意味を実感できると思います。
ただし、ガスファンヒーター、ガス給湯器は電源が電気なので使えません。
ガスコンロの火力の強さ


ガス併用の魅力は、なんといっても火力の強いガスコンロが使えることです。
IHクッキングヒーターでの料理は、鍋をガスコンロのように振れないことなど、使い勝手が悪い部分があります。
※一部機種では振れるよう改良されているようです。



火力の調整もガスコンロの方が簡単なので、料理が好きな方はガス併用でガスコンロの使用が良いかと思います。
お湯切れの心配がなくなる


給湯器がガスになると、お湯切れを気にしなくてよい。
これは意外とポイントです。
エコキュート(電気温水器)は貯めたお湯を使用するため、一度お湯がなくなってしまうと貯めるのに時間がかかります。



お湯がなくなりそうな場合には、残量を気にして使用することになります。
ガス給湯器→エコキュートに変更した場合、湯量目盛りが気になって、なんとなくお湯が使いづらいことがあります。
ガス併用の問題点


ガス併用にすることの問題点はこのようなことが考えられます。
- 夜間の電気料金がオール電化の場合と比べ高い
- 基本料金が電気とガスそれぞれにかかる
- 火災のリスクがある
夜間の電気料金がオール電化の場合と比べ高い


夜間に電気を多く使う家庭では、オール電化に対して、ガス併用にした場合、光熱費が高くなります。
特に給湯器をガスにすると、夜間の安い料金で使えていたお風呂、給湯の料金が高くなってしまいます。
後述しますが、この点は僕がおすすめする方法で、解決します。
基本料金が電気とガスそれぞれにかかる


電気とガスに分散することにより、それぞれで、基本料金がかかります。
オール電化にすることにより、基本料金は電気のみとなり、ガスの基本料金分の節約になります。
料金形態も、オール電化の専用プランがあり、ガス併用にすると適用できないケースがあります。
火災のリスクがある


ガスコンロを使用する場合、火を使うため火災のリスクがあります。
対して、IHクッキングヒーターは火を使わず、熱を発生させて調理をします。



漏電や、熱源に可燃物が触れるようなこと以外で火災になるリスクがありません。
ガス併用にする流れ


建築前であれば都市ガス、プロパンガスと選べるため、ランニングコストの安い都市ガスをおすすめします。
しかし、建築後(入居後)であれば工事の容易さを考えても、費用面でもプロパンガスも候補になります。
既存の住宅にガスを使いたい場合は、どちらも見積もりを取って比較検討しましょう。
家の建築前


建築前であればお得に、ガス併用にできます。
都市ガス、プロパンガスの場合で、それぞれ費用や手順が異なるため、注意が必要です。
都市ガスの場合


都市ガスの場合は、家の前に通っている本管から敷地内に引き込む必要があります。
事前に打ち合わせをして、宅内に配管を引きます。



自宅付近まで都市ガス配管が引かれていなければ、都市ガスを使うことは出来ません。
プロパンガスの場合


個別でガスボンベを建てて供給します。
新築工事前にガスボンベの位置を決めたり、ガス設備を設置したい場所を確認します。
オール電化住宅を選んだ場合にもガス設備と迷うことがあるならば、ガス配管をしておくと、今後ガス併用を考えた際に手間もコストもあまりかからずに変更できます。
※ただし配管費用は当然かかるため、その点は注意が必要です。
家の建築後


建築後または入居後に、オール電化からガス併用へ変更する場合には、先のように前もって配管を引いているかどうかで難易度や費用が違います。



基本的には前もって配管を引いているケースはほとんどありません。
(使わないかもしれないガス管をわざわざお金を払って引く方はあまりいませんよね…)
新築時であれば、ガス配管は基礎の内部を通したり、壁の中を通したりで、隠すことができます。
対して、建築後にガス配管を引く場合、配管を隠そうとすると、壁を剥がしたりしないと厳しいことがよくあります。
外回しで配管を引く場合は、ガス配管が壁の外でむき出しになってしまうことが難点です。
ガス併用にする費用


都市ガスの場合
道路から敷地内へガス配管を引き込む工事は、基本的には費用はかかりません。
敷地内の配管工事には、費用が発生します。
1m単位でおおよそ¥8,000~¥12,000ほどかかるようなイメージです。
目安として、一件分¥100,000~¥150,000程の工事費がかかります。
あくまで目安であり、ガス会社によって料金は異なるので、前もって見積もりをしてもらいましょう。
プロパンガスの場合
プロパンガスの場合は敷地内の配管工事でも、新築時に引いてもらう配管に費用がかからないことがあります。



ガス会社から貸与されることが多く、減価償却方式で、一定期間ガスの供給を受けると、配管費用が免除されるようなイメージです。
逆に、一定期間内で、他社へガスを切り替えたりした場合には、契約によって残存料金を支払うことになります。
ガス会社よって料金は違うので、数社見積もりした上で判断しましょう。
おすすめの方法


ガス併用で、おすすめの方法があります。
電気の良さ(安全性、料金プランの安さ)とガスの良さ(本格料理がしやすい)を両方とも生かすことができる方法です。
逆に、キッチンをIHクッキングヒーターにし、お風呂、給湯をガス給湯器にする方法もありますが、僕はあまりおすすめしません。
ガス料金が高い、安いは、給湯器をどれだけ使用するかにより差がでます。
ガスコンロを煮物等でたくさん使ってもガス料金に占める割合が低く、料金はあまり変わりません。
何度も言いますが、お湯をどれだけ使うかで、基本的にはガス料金が決まります。
夏場に1ヶ月間、お風呂を貯めた場合と、シャワーで済ませた場合の料金の差を確認していただければよく分かると思います。
オール電化に+α


オール電化にプラスしてガスを配管して、ガスファンヒーターを使ったり、ガス衣類乾燥機を使ったりするご家庭も増えてきました。
特に衣類乾燥機の乾太くんは自信を持っておすすめできます。
実際に、取り付けした方ほぼ全員「こんなに便利なら、もっと早く取り付けすればよかった」とおっしゃられます。



コインランドリーに行かなくてよくなったよ!
一回の乾燥を、100円かからずに回すことができるため、コインランドリーに頻繁にいく方には特におすすめです。
ガス併用にする注意点


オール電化からガス併用に変更する場合には、いくつか注意点があります。
オール電化で契約しているプランの変更や交換するガス器具の設置プランを検討しなければなりません。
料金プランの変更


オール電化からガス併用にした後には、電力会社のオール電化プランの変更が必要となります。
アンペア数の調整などを行う必要があります。
場合により、電力メーターの変更が必要になることもありますので、契約変更の確認を忘れずに行いましょう。
ガスコンロに対応できないキッチンがある


新築時は問題ないですが、既存のシステムキッチンがアイランドキッチンなどの場合、ガスの配管が壁や床を剥がさないと取り換えができない場合があります。
ガス配管は何とか引けても、構造上の問題で取り付けができないこともあるため、現場確認の際に注意が必要です。
もちろんリフォームすることで取り付けすることができます。
しかし、「コンロの交換だけのつもりだったのにキッチン丸ごとリフォームすることになった」なんてことにならないように、初めに確認しておくことが大切です。
さいごに


ガス併用とすると、メリットが多く光熱費の面でもお安く使え、快適に使うことができます。
ガス併用にすると、オール電化のプランが使えないのではないか?という意見もあります。
その点は、電気料金プランにも、オール電化にプラスガスというプランがある電力会社もあるため心配ありません。
オール電化も、ガス併用も使い方によってメリットやデメリットがあります。
使う方の生活スタイルによっても大きく異なります。



昼間に在宅の家庭なのか、仕事に出ていて誰もいない家庭なのかということで選ぶと良いでしょう。
光熱費を考えると、前者はガス併用がおすすめですし、後者はオール電化がおすすめです。
ご家庭での生活スタイルや使い方にあわせて選択することが不可欠です。