- ガスコンロの火はつくけれど、点火ボタンから手を離すと消えてしまう
- 消えてしまう原因を知りたい方
- 自分で出来る対処法を知りたい方
僕はガス会社に勤務して10年になる、現役のガス会社社員です。
ガス会社には、
「ガスコンロの火はつくが、手を離すと消える」
という症状の連絡がよくあります。
この症状は、故障もしくは清掃で解決できるのか、非常にわかりづらいケースです。
では、原因について考えてみます。
手を離すと消える症状の原因は、以下が考えられます。
- 電池の残量不足
- 立ち消え安全装置の汚れ
- 温度センサーの汚れ
- バーナーキャップの汚れ
- 点火ボタンの不具合

電池切れや掃除で改善することが多いよ!
この記事では、ガスコンロは火がつくけれど、手を離すと消える場合の原因や対処法について、解説しています。
こんな症状は点検(修理依頼)を


掃除等を試す前に以下の点を確認してください。
これらの症状が出た場合には、使用を中止して、ガス会社や、メーカーの点検を受けましょう。
- ガスの臭いがする
- 点火時のボッという音が大きい
- ガス漏れ警報器がなっている
- 正常でない所から炎が出ている
※この症状の場合でも、自分で治せることもありますが、万が一の場合に取り返しがつかないことになりかねません。
専門家に点検・修理を依頼しましょう。
手を離すと消える原因と対処法


点火ボタンから手を離すと火が消える症状は、以下のことを試してみると改善されることがあります。
可能性が高いものから順に解説します。
電池の残量不足


まずはじめに、電池の残量を確認してください。
ガスコンロのトラブルの約半数以上が電池が切れていることによるものです。



火がつかない時は、まずは電池を交換してみましょう。
電池によってセンサーが作動して火がつくので電池の残量が少なくなると、火をつけて手を離すと消えるという症状が多発します。
そのまま使っていると、最後には全く火がつかなくなります。
新しい電池に交換しましょう。この時にマンガン電池ではなくアルカリ電池を使用してください。
点火にはパワーを多く使うため、マンガン電池を使うと、使用できなかったり、1ヶ月ほどですぐ電池切れを起こすことがあります。
電池の位置
テーブルコンロの電池の位置は、正面から見て左側にあります(まれに右の場合があります)。
ビルトインコンロではパネルを開けた裏側に入っています。




立ち消え安全装置の汚れ
立ち消え安全装置に炎が当たると、電流が流れてガスの通路をふさぐ電磁石(マグネット)が動き、ガスの通路が開きます。


立ち消え安全装置が汚れまたは、水滴がついているなどで、火が当たっていない状態では、一瞬開いたガスの通路が閉じてしまうため、炎を保持できません。
そのため、手を離すと消える症状が起きます。
立ち消え安全装置の汚れを、掃除することで改善することができます。
繊細な部品なので、やすり等で磨く場合は優しく磨くようにしてください。
バーナーキャップの汚れ


バーナーキャップが目詰まりしている場合も手を離すと火が消える症状がおきます。
火を保持するためには、立ち消え安全装置に炎が触れる必要があります。
- バーナーキャップのすき間からきれいに炎が出ることにより、炎が立ち消え安全装置に触れます。
- 炎が触れることにより、電流が流れることでマグネットが動き、ガスの通路が開いた状態になります。
- 開いた通路からガスが供給されることにより、火がつきます。
- 炎が当たり続けることで、火を保持します。
※立ち消え安全装置にきちんと炎が当たっていないと、ガスの通路が閉じるため、ガスが遮断されます。
バーナーキャップが汚れて詰まっていると、火を保持できないため、掃除をする必要があります。
掃除方法については、こちらで解説しています。
SIセンサー(温度センサー)の汚れ


SIセンサーが汚れていることで、なべ底にきちんと接していないことも原因の一つです。
SIセンサーは温度センサーの役割があり、なべ底の温度を感知することで炎の大きさを調整します。
汚れがあるとなべ底の温度を感知できないため、火が保持できません。汚れを取り除くことで改善します。
また凹凸のある鍋を使用していて、SIセンサーになべ底がきちんと接していない場合も同様です。
点火ボタンが押し込めていない




ガスコンロの点火ボタンにはひねって点火するタイプと押し込んで点火するタイプがあります。
押し込んで点火するタイプのガスコンロの場合、きちんと奥まで押し込まないと、点火スイッチに届かないため火がつきません。
手を離した後少し火がついてから消える症状の場合


手を離した後、少しの時間火がついた後、火が消えるケースについても触れておきます。
ガスホースの折れや曲がり
テーブルコンロの場合は、ガスホースの折れや曲がりによってガスの供給が遮断されているケースがあります。
折れや曲がりの箇所から先にはガスが供給出来ないので、1度使ってガスを燃やしきると火がつかなくなります。



これは、目視で確認!
ガス栓が閉まっている


ガス栓が閉まっている場合も、配管内のガスが残っているので1度火がついた後に、配管内のガスが燃え切ってしまうと、火が消えてしまいます。
特に掃除をした後には、ガス栓を閉めたまま開け忘れることがあるので、確認しましょう。



ガス栓(ガスコック)も確認すること!
ガスメーターの安全装置でガスが止まっている


ガス栓が閉まっている状態と同じく、ガスメーターの安全装置でガスの供給が遮断している場合も、少しの間、火がついてから消える症状が起きます。
- メーターで震度5相当の揺れを感知した
- ガス器具を長時間使用した
- 使用量が急激に増えた
- ガス圧が下がった
ガスメーターの安全装置は主にこのような理由で作動します。
ガスメーターの安全装置が作動した場合には、すべてのガスの供給を遮断します。
そのため、ガスメーターの復帰作業をしなければ、ガスを使えません。
ガス圧が下がった原因の場合は、ガスのバルブやガスコックを閉めたまま使用してしまった場合がほとんどです。
ガス供給ができる状態にして、復帰作業に進んでください。
ガスメーターの復帰方法についてはこちらでくわしく解説しています。
立ち消え安全装置や電磁弁(マグネット)の不具合


立ち消え安全装置や、電磁弁(マグネット)の故障も考えられます。
先に解説した通り、立ち消え安全装置に炎が振れることにより、電流が流れます。
それにより、ガスの通路である、電磁弁のマグネット部分が密着することにより、手を離していてもガスを供給します。
電池交換や掃除をしても、手を離すと消える症状が続く場合は、部品の故障の可能性が高いと考えられます。
この場合は、ガス会社やメーカーに修理を依頼しましょう。
使用年数によって交換も検討


修理をした後もトラブルが続く場合には、買い替えも視野に検討しましょう。
ガスコンロには寿命があり、テーブルコンロは5~7年、ビルトインコンロは約10年での交換が目安になります。


また、温度センサー(SIセンサー)がついていないコンロをお使いの方は、早めに交換することをおすすめします。
2008年以降のコンロには調理油過熱防止装置や、立ち消え安全装置などの安全機能をつけて販売することが、義務化されました。
温度センサーでなべ底の温度を感知して、調節して、発火を防ぐ機能です。
もし2008年以前のコンロをを使用している場合は、買い替えを検討した方がよいと思います。
ガスコンロの寿命についてはこちらで解説しています。
さいごに


ガスコンロの火がつかないトラブルが、いざ起きた場合には、どうしていいかわからず不安になる方が多いかと思います。
ガス会社には「ガスは怖いから」とお電話いただくことが非常に多いです。
この症状に限らず、原因や対処法を理解することで、必要以上に不安になることもなくなります。
今回は火がつくけれど、手を離すと消える症状について解説しました。
その他の症状のケースでも、電池交換や部品の清掃で解決することが多々あります。
まずは電池交換をするところから試してみてください。