- プロパンガスと都市ガスの違いを知りたい
- プロパンガスと都市ガスの特徴を知りたい
- ガス種別の見分け方について知りたい
普段使用しているガスには、プロパン(LP)ガスと都市ガスという種類があることはご存じですか?
僕はガス会社に勤務して10年になる現役のガス会社社員です。
プロパン(LP)ガスと都市ガスがあることは知っていても、違いを理解している人は多くはありません。
プロパンガスと都市ガスの違いについては、使用方法以外ほぼすべて異なるものです。
たとえば、ガスの成分・料金設定に違いがあります。その他にも、供給方法なども違いがあります。
- 全国どこでも使用できる
- 家庭や物件に個別にガスボンベを設置してガスを供給する。
- 都市部に多く供給されている
- 地中に埋められたガス配管を通って集中的にガスの供給をする。

ガス器具にも、プロパンガス用と都市ガス用の器具があり、異なる種類の器具を使うと、事故につながる危険があります。
違いと同時に、それぞれの見分け方についても理解する必要があります。
この記事では、プロパンガスと都市ガスの違いや見分け方について解説します。
プロパンガスと都市ガスの違い


プロパンガスと都市ガスは成分・供給方法・取り付け可能なエリアのどの点で異なります。
それぞれの特徴は以下の通りです。
プロパンガス | 都市ガス | |
主成分 | プロパン、ブタン | メタン |
発熱量(kcal) | 24000kcal/㎥ | 10750kcal/㎥ |
供給方法 | 個別方式(一部集中) | 集中方式 |
供給エリア | どこでも | 都市部 |
ガス料金 | 高い | 安い |
災害時の復旧 | 早い | 遅い |
成分についての違い


プロパンガスと都市ガスの違いとして、主成分の違いがあげられます。
また、発熱量(kcal/㎥)も異なります。



発熱量は、器具によって調整されるので、使い方は同じです。
プロパンガス
プロパン、ブタンを主成分とする液化石油ガスで空気より重い性質があります。



各家庭に個別にプロパンガスの入ったボンベを配達、設置して、ガスを供給します。
定期的にガスボンベを交換することにより、安定的に供給が可能です。


個別にガスボンベを設置するため、全国どこにでもガスの取り付けが出来ます。
プロパンガスとLPガスの違いとは?


プロパンガスとLPガスは、どちらも液化石油ガスのことで、同じ物と考えて良いです。
LPガスの一種としてプロパンガスがあり、家庭用のLPガスのことをプロパンガスと呼ぶことが多いです。
これは、家庭用LPガスに多くのプロパンが含まれていることから、そう呼ばれます。
都市ガス
メタンを主成分とする天然ガスで空気より軽い性質があります。



ガスを、道路の下にある埋設管などの配管を通して各家庭に供給します。
都市ガスの本管から、宅内へ引き込んでガス供給を受けます。


都市ガスの配管が通っている地域にしか供給できないため、都市部に多く供給されています。
料金についての違い


プロパンガスと都市ガスには、料金についても違いがあります。
これは、供給方法や発生させることができる熱量(kcal)の差が主なもので、「プロパンガスは高い」と言われる要因になります。
プロパンガスの料金


プロパンガスの料金は、ガス会社によって自由に設定できるためガス会社によって異なります。
ガス会社単位で、自由に料金を上げ下げすることができ、ガス会社によって金額に大きく開きがあります。
同じ地域においても、ガス会社によっては、2倍の価格差がつくこともよくある話です。
ただし、人間の手で充填されたガスボンベを配送して供給するため、コストがかかります。このため、都市ガスより料金が高くなるのです。
賃貸物件では、プロパンガススキームと呼ばれる、悪質な仕組みも料金の高さの原因です。
賃貸アパートのエアコンなど、住設機器をプロパンガス会社が大家に無償提供し、かかる費用を入居者のガス料金に上乗せする仕組み





この悪習は、2024年7月に禁止となりました。
プロパンガスは、ボンベを個別に立てることで、どこでも使用することができます。
都市ガス配管が通っていない田舎の方が、プロパンガスのシェアは高い傾向があります。
都市ガスの料金


2017年以前は料金について、国の認可を得ることか必須で、自由に決めることができませんでした。
しかし、現在は都市ガス料金の自由化により、自由に料金を設定できるようになりました。
(自由化により料金の値下げを期待しているようですが、現状大幅な値下げには至っておりません。)
プロパンガスと違い、配送コストがかからないことや熱量の違いから、安価な料金に設定できることが強みです。
都市ガスは、ガス管を通すことに多額のコストがかかるため、主に人口の多い都市部で使われることが多いです。



まとまった需要がある都市部でないと、ガス会社側のコストがかかり過ぎて採算が取れません。
プロパンガスと都市ガスの見分け方


ご自宅で使用しているガスが、プロパンガス・都市ガスのどちらかを見分ける方法は、以下の通りです。
ボンベの有無で確認


プロパンガスであれば、家の外周のどこかにガスボンベが設置してあります。



家の周りをぐるっと周ると、どこかにあると思います。
※集中配管と呼ばれる、数軒から数十軒の家庭のボンベを1ヶ所にまとめて、そこから各家庭に供給する方法もあります。
製品のラベルでガス種別を確認する
ガス機器にはすべて、製品についての情報が記載されている、ラベルが貼ってあります。
ラベルの位置は製品によって異なります。
記載欄に都市ガスの場合、12A・13Aなどと記載してあります。プロパン(LP)ガスの場合には、LPGやプロパンガスの記載があります。
テーブルコンロのラベルの位置


コンロの正面に立って右側の側面にラベルがあります。
テーブルコンロはサイズがギリギリで設置されていることが多いため、持ちあげて確認する必要があります。
他の器具で確認できる場合は、そちらを優先してください。



隙間から見えることもあります。
ビルトインコンロのラベルの位置


商品によっても違うことがありますが、ビルトインコンロは前面パネルのカバーを開いたところにラベルがあります。
前面パネルを開くと、製品型番などが記載されたシールがあり、確認できます。
給湯器のラベルの位置


本体正面にラベルがはってあります。
本体正面の見やすい位置にあるため、器具の中で一番確認しやすいのではないでしょうか。
ただし、取り付けから年数の経過した給湯器では、ラベルが薄くなって見えなくなることがあります。
ガス漏れ警報機の位置で判断
ガス漏れ警報機はそれぞれのガスが持つ性質により、取り付け位置が異なります。
ガス漏れ警報器の位置を確認すると、ご自宅のガス種別はすぐわかります。
ガス漏れ警報器が下にある(プロパンガス)


プロパンガスは空気より重く、もしもガス漏れがあった際に下部に溜まります。
そのため、燃焼器から4m以内かつ床から30cm以内に取り付けてあります。
下に警報器がついている場合はプロパンガスです。
ガス漏れ警報器が天井付近にある(都市ガス)


都市ガスは空気より軽い性質があるため、もしもガス漏れがあった際に上部に溜まります。
そのため、燃焼器から4m以内かつ天井から30cm以内に取り付けてあります。
上に警報器がついている場合は都市ガスです。
さいごに


単純にガス料金を比較すると、プロパンガスを使用するよりも、都市ガスを使用する方が安いです。
そのため、光熱費だけを考えると都市ガスを使うことが良いように思えます。
しかし、いくら都市ガスを使用したくても、ご自宅付近までガス配管が通っていなければ、都市ガスを使うことはできません。
その場合は、プロパンガスを使用した上でガス料金を節約することも大切です。